INTERVIEW
Vol.14
下野璃央
チームでチャンピオンを獲る
――その強い気持ちで
2年ぶりにKYOJO CUPへ
カムバック!
INTERVIEW
Vol.14
チームでチャンピオンを獲る
――その強い気持ちで
2年ぶりにKYOJO CUPへ
カムバック!
KYOJO CUPには2021年から参戦し、2021年度はシリーズ3位、2022年度はシリーズ4位を獲得した下野璃央選手(以下、璃央選手)。昨年度はエントリーしなかったが、今年再び女性だけのレースに元気な顔を見せてくれた。
「一旦、FIA-F4選手権に集中したくて、KYOJO CUPには参戦しませんでした。昨年は1回入賞を取って戦績も残せたので、今年は参戦を決めました。」
FIA-F4選手権(以下、FIA-F4)は、F3の前段階のフォーミュラレースであることは周知の通り。スーパーGTシリーズの国内戦においてサポートレース的な立ち位置で、若手レーシングドライバーを育てるカテゴリーとしても注目されている(出典:WEBサイト「TOYOTA GAZOO Racing/トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム」)。璃央選手は昨年このFIA-F4に参戦し、開幕戦を7位でフィニッシュ。女性ドライバーの歴代最上位タイを記録した(2023年時点)。それ以外にも2023年は、鈴鹿クラブマンレースMEC耐久シリーズ(以下、MEC)の v.granzクラスに出場し、最終戦で優勝。シリーズ3位でシーズンを終えた。
「四輪のレースはフォーミュラカーから始めているので経験もあるし、VITAも速く操作できると自負しています。でもまだKYOJO CUPでチャンピオンを獲れていないんで、帰ってきたからにはそこだけに焦点を当てて戦おうと思います。」
熱い闘志と揺るぎない意志も「勝つ」ためにはマストだが、経験値に裏打ちされた璃央選手の自信あふれる言葉にすっかり気圧された。
「カートに乗り始めたのは小学5年生からです。お父さんが6歳下の弟にカートをやらせたくて私も連れてレンタルカート場へ行っていたんですが、弟よりも私がハマって。そこから中学1年生くらいまで、大阪・四條畷市にあるスポーツランド生駒の小さいカートレースに出ていました。全国規模のレースに出るようになったのは中学2年生くらいからですが、結果はあまり出せなくて。成績が上がってきたのは高校生でミッションカートに乗り始めてからですね。」
2018年、岐阜県のフェスティカサーキット瑞浪で開催されたカートレースに出場し、璃央選手はチャンピオンを獲得。2019年からは四輪に転向し、レーシングドライバー・道上龍選手が主宰するチーム・Drago CORSEからレース参戦を叶えた。最初に挑んだのは、本格的フォーミュラの入門カテゴリーといわれるスーパーFJ(以下、S-FJ)。大分県のオートポリスインターナショナルレーシングコース、富士スピードウェイで優勝し、スポーツランドSUGO、モビリティリゾートもてぎでも表彰台に上がるなど、2020年までの2年間で数々の記録を打ち立てた。
「参戦するほど、どんどん意志が強化されて、勝ちたい気持ちも強くなりました。だって現役でフォーミュラに乗ってるんやから、速くて当たり前やし。」
かわいらしい関西弁で璃央選手はそう話したが、戦績を見れば納得しかない。
「今年はKYOJO CUPだけでなく、FIA-F4とMECにも参戦します。乗り換えが忙しいんですけど、自分の成長にもつながるし、レーシングドライバーっぽいなと思って(笑) 。乗り換えは1セッション走れば慣れてできるんですけど、このコンディションであればこのセットではダメだとか、マシンを作っていくためのテストで。速さを追求していく上で、そうしたことにももっと理解を深めていきたい思います。」
走れば走るほどタイムが伸びるというところから、璃央選手はその先のフェーズへ。
「別に出場するレース全部で優勝を狙っているわけじゃなくて。FIA-F4のカテゴリーで優勝を狙うとなったら結構、厳しいのもわかっていますし、FIA-F4なら入賞圏内に居続けたいとか、表彰台に1回でも乗れたらいいなとか、レースやレベルによって目標はもちろん違います。でも女性の中では絶対、一番でいたいですね(笑)。」
潔い語り口調に、勝ち気なだけでない率直な人柄を垣間見た。レースウィークでなければ夜遊びもするし、たまには朝までお酒を飲んで二日酔いになることもある。璃央選手は同世代の女の子と同じように過ごし、おしゃれも自由に楽しんでいる。
「よく『こんな爪で乗っているの?』って言われるけど、こんなネイルでも車に乗ったら速いよっていうところを見せたいです。」
視線の先にスーパーGTやフォーミュラを見据えながら、まずは競争女子の一番を確実に狙いにいく。