彼女の素顔

INTERVIEW

Vol.19

金井宥希

モデル業とレーシングドライバーを
両立しながら
タフなメンタルとチャレンジ精神
でKYOJO初参戦

金井宥希

レースクイーンから
レースする側へ、華麗なる転向



「サーキットへは何度も来ていましたが、これまでは傘を持っているほうでした」

そう言って、にっこり微笑む金井宥希選手(以下、宥希選手)。小顔でスレンダーなスタイルを活かし、モデル、キャンギャル、レースクイーン等で活躍する彼女に、2024年からレーシングドライバーという新たな顔が加わった。


「昨年、現役プロドライバーの織戸学選手が主催するドライビングレッスン『パークトレーニング』に参加したんです。そこで知り合ったPassing Markという会社の社長さんからキャンギャルを募集していると聞き、すぐ応募させていただきました。お仕事が決まってから、『実は女の子のレーシングチームを作りたくて。やってみませんか?』と打診を受けて。ドリフトをやりたい子を募集していると聞き、やりたいです!と答えたら、KYOJO参戦が決まりました。」


できすぎた展開のようだが、引き寄せたのは宥希選手の行動力と運の強さに他ならない。Passing Markはカーフィルム、カーラッピングの専門店なのだが、名古屋オートフェスティバル2024に出店するにあたってキャンギャルを募集する傍ら、ブランディングの一環でレーシングチーム計画をスタートしたばかりだった。


「ハーレムレーシングというチームを立ち上げて、その第一期生を募集しているところだったんです。ドリフト、VITA、ラリー、キャンギャルなど様々な部門がある中で、私はキャンギャルもレースも両方やらせていただくことになりました。」


こうして所属するチームが決まると、後の展開も早かった。KYOJO CUP出場に間に合わせるべく、2月末から猛特訓が始まった。



神奈川 から愛知へ通って猛練習
短期間でVITAの走行感覚を掴む





「神奈川 からPassing Markのある愛知まで、毎週通う日々が始まりました。実車は幸田サーキットで走らせていただき、翌日は会社で丸一日レーシングシミュレーターを練習する、そんな2ヶ月間半でした。」


2023年、宥希選手はホンダS660で軽自動車での耐久レース「K4GP」に出場したことがあったのだが、VITAの感覚はそれとは全く異なっていた。


「K4GPは、普段、街乗りしている愛車で走行するので、ちょっと練習して耐久レースに活かすという感覚でした。結構エンジョイ枠だったんですけど、VITAはガチのレース。気合いで臨みましたが、幸田サーキットで初走行したとき1周するのに10回もスピンしました。ハンドルが全然切れなくて、なんじゃこりゃって。どう操作したらいいかわからない車に、初めて遭遇した感じでした。」


慣れないVITAに戸惑う宥希選手を、現役ドライバーとしてFIA-F4などで活躍する徳升広平選手がコーチに就き、技術とメンタルの両面からサポート。徳升氏は、「乗ってきた期間の長さではなく乗る量だ」と叱咤激励し続けた。


「クラッシュが怖くてアクセルを強く踏めずにいると、『そんなんじゃ一生速く走れないぞ!壊してもいいから踏め!』と言われて。それで思い切ってやってみたら本当に壊してしまって、『次、壊したらヤバいぞ』とストップがかかりました(笑)。そうしたトライ&エラーを繰り返して、スピードを出してみないとわからないようなタイヤのグリップ加減やテールが流れていく感覚をなんとか身につけることができました!」




「車が好き」という想いを胸に
モータースポーツ界の発展に尽力





宥希選手は短期間で凝縮した練習を行い、5月のKYOJO CUP開幕戦に焦点を合わせ仕上げていった。


「KYOJOの選手たちはキャリアを積んできた方々ばかりです。長年カートから鍛えてきた方と比べたら、私はあまりにもレース歴が浅すぎて。それでもみなさんに付いていけるよう、チャラチャラした女がレースなんてできるの?と思われないよう、必死に練習しました。」


そもそもサーキットは宥希選手にとって憧れの舞台だった。

「学生時代は父と一緒にGTやフォーミュラの観戦に出かけていたんですが、観戦席から眺めるサーキットは近いようで遠くって。レース観戦するよりもっと近くでレーシングカーを見たいと、レースクイーンになりました。その後はS660でエンジョイ走行も始めました。そんな私がVITAに乗って富士スピードウェイを走るなんて、なかなか感慨深いです。」


所属チームの看板を背負う意味でも、下手なレースはできない。宥希選手は生半可ではない覚悟でKYOJO CUPに挑む。


「車関係のモデルを仕事にしていてよかった。」

今、宥希選手は心からそう思う。個人ではライバーとして発信をしつつ、チームではYouTubeチャンネルでレースファンを増やし、モデルとレーシングドライバーの二つの面からモータースポーツ界を盛り上げていく。