彼女の素顔

INTERVIEW

Vol.24

及川紗利亜

「女性たちにモータースポーツの
楽しみを伝えたい」
ミスユニバース準グランプリの
飽くなきチャレンジ。

及川紗利亜

ミスコンもKYOJOも全力で挑む
才色兼備な現役歯科医師



及川紗利亜選手(以下、紗利亜選手)は現役の歯科医師であり、ミスユニバースジャパンの2022年度準グランプリに輝いた経歴を持つ。それだけで十分に華のある人生だが、紗利亜選手は2024年はKYOJO CUP参戦のシートを勝ち取った。


「大学の自動車部からモータースポーツを始めました。KYOJOの選手のみなさんと比べたら経験値も年数も浅いんですが、何か公式なレースに参加したいなという思いがずっとあって。KYOJO CUP女性の活躍を応援するというモットーを見て、これだと思ってオーディションを受けたんです。」


普通自動車免許を取得してからのモータースポーツデビューだが、大学時代は6年間歯学部で学び、卒業試験や国家資格取得試験が控える中で、20152018年は電動レーシングカートレースシリーズに参戦。シリーズ優勝を飾った年もある。公式レースを目指すのはごく自然な流れだったが、紗利亜選手にはその前に叶えたい夢があった。


「ミスユニバースジャパンへの出場が小さな頃からの憧れであり目標でした。それで歯科医師の免許を取得したら挑戦しようと決めていて。国家試験に通った後は研修医をするのが一般的ですが、私は一旦ストップしてミスユニバースに本気モードで集中しました。でも初挑戦した2021年度は日本大会で4位。翌2022年に再挑戦し、準優勝という結果を収めることができました。」


目標達成のための努力は惜しまない。ミスユニバースでは本大会までの2ヶ月間、ミスとして必要なスキルを身につけるためにビューティーキャンプに参加するそうだ。そこで紗利亜選手は小さな成功体験を積み重ね、大きな自信を手に入れた。



「女性だから」「年齢的に」無理
そんな風に諦めず、挑戦し続けたい





「女性のモータースポーツでの活躍は無理というイメージが、まだ根強くあると思うんです。私自身、ミスユニバースの出場の際もレースでも、年齢で諦めそうになったことがあります。ですが諦めなかったことで、こうして夢が実現できました。KYOJOの先輩がたには子育て世代の方もいらっしゃいますが、女性が出産や育児といったライフイベントを迎えたとき、自分の夢や目標を諦めなくてよい社会に近づくといいなと常々思っています。」


だからこそ、紗利亜選手は目標達成に向けて貪欲に挑む。ミスユニバースを終えると、1年間の研修医期間を経て一人前の歯科医師となった。レーサーと二足の草鞋だが、どちらも決して手を抜くことはない。


「現在、歯科医師として2つのクリニックに勤めています。レースの練習にあてられるよう勤務は週4日。どちらのクリニックもレース活動やメディア活動を応援してくださっていて、ありがたい職場だなと思います。」


KYOJO CUPにおいても、ひたむきに努力する姿勢はそのままに勝つことだけに捉われず、自分にできることは何かと模索する。


「世界的に見たとき、女性が車を運転することができない国もまだまだあります。そうした国で暮らす小さな子たちにも女性だけのレースがアジアにあることを知ってもらえるような活動ができたら。私にはミスユニバースのバックグラウンドがあり、世界の人たちが見てくださっているので、そういう発信ができたらいいなと思っています。それで、『自分もこんな風になりたい』と思う女の子が一人でも増えて男女差が少しでもなくなればと思うんです。」




ファンとの交流も大切にしながら
一戦一戦着実にレベルアップ





歯科医師でありミスユニバース準グランプリである立場を活かし、紗利亜選手は社会活動にも取り組む。


「医療に携わる中で、口唇口蓋裂という先天性疾患の治療を行なっている『スマイルアジア』という団体と出合いました。そのアンバサダーとして口唇口蓋裂についての啓蒙活動を行なっています。この疾患は外見にかかわることもあり早期手術が望ましいのですが、そうしたお話を幅広く知ってもらうために専門学校などの学生を対象に講演させていただいています。」


人とのコミュニケーションもまた、紗利亜選手の得意とするところだ。KYOJO CUPではファンとの交流イベントが多いのも特徴だが、そうした場でも自分の力が発揮できると確信している。


「レースはもちろん楽しんでいただけるような走りを見せたいですが、レース以外でも喜んでいたけたら。トークショーなどで会場に来てくださったお客様が楽しかった、レースをもっと観に行きたい!と思ってもらえるように頑張りたいです。」


紗利亜選手のVITAには「スマイルアジア」のステッカーが貼られてある。KYOJO CUPを世界につなげる一翼も担いながら、女性たちが何かに挑戦するやりがいやモータースポーツの楽しさを伝え続ける。