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斎藤 愛未サイトウ アイミ
#17 TEAM M VITA
2024年のKYOJO CUP第3戦が7月19日(金)~21日(日)に富士スピードウェイで開催された。前日同様に複数台が争う激しいバトルが繰り広げられた中、#17 斎藤愛未(Team M 岡部自動車 D.D.R VITA)が最終ラップで逆転し2連勝を飾った。
第3戦のスターティンググリッドは、19日(金)の予選セッションでのセカンドベストタイムで決定。ベストタイム争いでもトップを奪った#86 下野璃央(Dr.DRY VITA)が2周連続のタイムアタックで2分00秒234をマーク。ライバル勢を上回って暫定トップに立った。セッション残り5分を切ったところで斎藤が2分00秒441を記録し、セカンドベストタイムで2番手に浮上。3番手には#114 翁長実希(Car Beauty Pro VITA)が着け、以下、#44 平川真子(ROOKIE Racing RSS VITA)、#87 山本龍(お先にどうぞ☆VITA)、#225 富下李央菜(KTMS VITA)というトップ6になった。
この日は併催の全日本スーパーフォーミュラ選手権決勝日とあって、富士スピードウェイには3万人を超えるモータースポーツファンが集まった。第2戦での白熱したバトルが好評で、関係者からも熱い視線が注がれる中、13時00分にフォーメーションラップが開始され、12周によるレースがスタート。前日の第2戦では好ダッシュを決めてトップを守った下野だったが、今回は斎藤と翁長の方が加速が良く、TGRコーナーでは2台が並んで進入していく。そのままコカ・コーラコーナーまで2台横並びのバトルが続き、翁長がトップに立った。その背後に斎藤と下野がつけている状態で1周目が終了。3台によるトップ争いは前日以上に白熱したものになった。
2周目のメインストレートで斎藤がトップに立つと、翌3周目には3番手の下野が2台分のスリップストリームを使って逆転トップに立った。その後も毎周のように3台が横並びでTGRコーナーに飛び込んで行くという白熱の展開となった。その後方では平川、山本、富下、#50 永井歩夢(BBS VITA)が激しい順位争いを繰り広げた。
さらに後方でも1周目から各車が激しい順位の奪い合いをしていたが、#76 佐藤こころ(ELEVレーシングドリームOSスハラVITA)がトラブルでストップ。早々にリタイアを喫した。
序盤からトップ3台が集団から抜け出すなか、平川、山本、富下、永井、#38 佐々木藍咲(LHG Racing DRP VITA)からなる第2集団が激しいバトルを展開していった。
トップ争いは3周終了時点で下野がトップを死守。4周目に入るところで翁長がスリップストリームを活かして並びかけてトップを奪いにかかるが、下野が何とかポジションを守る。2台とも前日の第2戦で斎藤が群を抜く速さを見せていたのを考慮して、序盤から積極的に仕掛けていく作戦を選択していた。
「前日から改善できるところは改善しましたが、ストレートスピードでは特に斎藤選手と比べて苦しい部分がありました。常に先頭にいないと置いていかれると思ったので、タイヤマネジメントのことばかり考えずに、とにかく前に行こうと決めていました」と下野。
これに対し翁長も「序盤にトップ集団から離されないように、タイヤの内圧を前半重視にしていきました」と序盤から戦況を有利に進めようと試行錯誤していた。
そういった動きもあってか、トップ3台のバトルは中盤に入っても抜きつ抜かれつの展開が続く。5周目に入ると下野、翁長、斎藤の3台が横並びの状態でTGRコーナーへ進入。ここで後ろから様子を見ていた斎藤がトップに立ち、翁長、下野の順で続いた。
後方でもバトルが白熱する中、#73 SALLY(TRADE TECH VITA)が5周目のTGRコーナーでスピンを喫したが、自力でコース復帰。さらに6周目には同じTGRコーナーで#703 清水愛(ハイスピードエトワールR VITA)もスピンを喫したが、こちらも自力で復帰した。
その間にトップ3台が接近。7周目に入ったところで再び3ワイドのバトルとなり、下野が先頭に浮上した。しかし、コース中盤のセクター2では翁長が速さをみせて下野にプレッシャーをかけていく。一方、第2集団では富下が平川を抜いて4番手に浮上。持ち前のペースの良さを武器に、トップ集団に近づいていった。
8周目に入ってもTGRコーナーでは3ワイドのバトルが展開されたが、ここではコカ・コーラコーナーまでバトルがもつれ込んだ。ここで下野がトップに躍り出るが、コースの外側を使って斎藤を抜いたとして、走路外走行での追い越しということで競技団の方で検証が入った。
後方でも各所でバトルが繰り広げられたが、なかでも白熱したのが、#730 前田琴未(ハイスピードエトワールR VITA)と#4 岡本悠希(グッドスマイル 初音ミク VITA)の24番手争い。長時間抜きつ抜かれつの接戦を展開し、終盤まで順位争いが展開された。
トップは下野がキープして最終盤に突入したが、10周目に入ったところで斎藤がスリップストリームを使ってトップに浮上。それでも、下野はしっかりと背後に食らいついてチャンスをうかがった。そして残り2周のところで再びトップを奪った。
しかし、先ほどの走路外走行をしながら順位を上げた件で、下野に対して5秒加算のペナルティが出されることになる。
3台のバトルは最後まで続く。最終ラップに入るところで斎藤がスリップストリームを使って一瞬トップに立つが、直後のTGRコーナーで下野が逆転。それでも諦めなかった斎藤がコカ・コーラコーナーで再逆転を果たし、土壇場でトップを手に入れた。
後半セクターに入ってラストスパートをかけた斎藤に対し、最終セクションでは下野と翁長のバトルが白熱。最後まで一瞬たりとも目が離せない展開となった。
結局、これまで悔しい思いをしてきた最終ラップでトップを奪った斎藤が、ポジションを守り抜いてチェッカーフラッグ。見事2連勝を飾った。2番手争いは僅差の戦いとなり、GRスープラコーナーで順位を下げた下野が、ゴール直前で翁長を逆転して先着した。しかし、下野は前述の5秒加算ペナルティがあり正式結果は4位に。翁長も複数回の走路外走行があったとして5秒加算ペナルティを受け、5位に下がることとなった。これにより、限定Aライセンスで参戦する17歳の富下が初の2位表彰台に上がり、平川が3位に繰り上がった。
終始、好バトルを披露してくれた下野と翁長だが、結果は残念ながらペナルティで表彰台圏外となった。
下野は「(あのコカ・コーラコーナーは)引きたくないし、当たりたくないという想いでコーナーに入っていたら、飛び出してしまいました。でも、引きたくなかったんです。その後の100Rが自分として苦しいポイントだったので、あそこは頑張らないといけないポイントでした」と、コースオフしたシーンを振り返った。
結果は残念なものになったが「今回のように頭を使えば、バトルでも競り勝つチャンスがあることが分かったので、次戦以降は結果を残せるように頑張りたいです」と意気込みを語った。
一方の翁長は「周りのペースが良いので、タイヤの内圧を前半側に合わせて、序盤からついていけるようにしました。後半が辛くなることはわかっていましたけど、周りのペースが良いので、そこについていこうとすると、タイヤが苦しくなっていったところはありました。次頑張ります」と話していた。
次回のKYOJO CUPは8月18日(日)に第4戦が富士スピードウェイで行われる。
「第2戦では、自分の中で課題となっていた最終ラップのバトルでトップを守り切るということが、セーフティカー先導状態になってしまったことでクリアできませんでした。『たまたま勝てたのではないか?』『まだ課題が残っているのではないか?』と、いつもKYOJO CUPを見ている方は思われたかもしれません。今日はしっかり戦って勝つことができて、速さも強さも証明できたので、非常に嬉しい優勝です。中盤は誰が何番手にいて……というのも覚えていないくらい激しいバトルでした。ただ、12周のレースでいかにタイヤを痛めずに最後まで走り切るかというところに焦点を当てて走り続けていました。ランキングトップになりましたが、現時点でチャンピオンのことは意識していません。とにかく毎回勝つことに重点を置いて、これからもやっていきたいです」
「ずっと4番手争いをしていて、悔しいと思いながらピットに戻ってきました。そうしたら繰り上がりで2位になっていて……。素直に喜んでいいのか複雑な気持ちです。予選では走路外走行があってペナルティをもらったので、決勝はなるべくクリーンなレースをしようと心がけていました。第2集団からいち早く抜け出てトップ集団に追いつきたかったのですが、スリップが効くのでなかなか逃がしてもらえないまま前半が終わりました。(抜け出してからは)ペースが良かったのですが、前の集団はバトルをしながらもしっかりタイムを出していたので、なかなか追いつけませんでした。やっと初表彰台に上がれたので、次は1位を狙って頑張りたいと思います」
「私も繰り上がりで3位となりました。今回はたくさんの関係者の方が応援に来てくださって、その中で良いポジションでゴールできました。スタートは良かったのですが、その後に詰まってしまった感じで、そうこうしている間に山本選手に抜かれてしまいました。そこで第2集団に入ってしまって、トップ集団との差が離れたのが痛かったです。私は第2戦で翁長選手とけっこうバトルをして、そこでタイヤを使ってしまっていたので、それも第3戦では苦しい部分にはなってしまいました。前日の第2戦でいろんな課題が見えて、その課題をクリアすることを意識しましたが、やはり路面コンディションも変わってくるなかで新たな課題も見つかりました。レース中は抜かれる場面もあって悔しさもありましたが、自分のなかでは楽しく走ることができました。表彰台にも上がれて嬉しいです」