FIRST
- TOTAL POINTS
- 81
斎藤 愛未サイトウ アイミ
#17 TEAM M VITA
2024年のKYOJO CUP 第4戦が 8 月 18日(日)に富士スピードウェイで開催され、ポールポジションからスタートした#17 斎藤愛未(Team M岡部自動車D.D.R VITA)が今季3勝目を挙げた。
今回は参戦経験のある#107 奥田もも(FinalLapRacingワイルドキャットVITA)と、#15 RINA ITO(恒志堂レーシングCLASS VITA)が加わり、過去最多エントリーを更新する31台が揃った。また、第3戦で2位に入った富下李央菜が今回は欠場となり、#225 雨音ももは(KTMS VITA)が代役としてKYOJO CUPデビューを果たした。
18日(日)8時00分から行われた公式予選。グリーンシグナルが点灯して各車がコースインしていくが、少しでもタイムを上げるために、数台が位置取りの駆け引きを繰り広げられた。今季の上位に来ているドライバーたちは、ポイントリーダーである斎藤の後ろについて、スリップストリームを活かそうという作戦。それに対して斎藤も他車の後ろについてタイムアタックするべく、ペースを落として様子を見ていたことで、彼女を先頭にした5~6台の隊列が作られることとなった。
開始8分を過ぎたあたりから、隊列にいたメンバーがそれぞれタイムアタックを開始した。その間にタイムアタックを始めていた#87 山本龍(お先にどうぞ☆VITA)が2分00秒395でトップに立つと、他の車両も続々と2分00秒台をマークしていく。
これに対して、斎藤は唯一2分00秒台を切る1分59秒822を記録してトップに浮上。その真後ろでアタックをしていた#86 下野璃央(Dr.DRY VITA)が2分00秒004で2番手につけた。その後も各車がタイム更新を試みるが、トップタイムが変わることなくセッションが終了。斎藤が今季2度目のポールポジションを獲得。2番手には下野、3番手には#50 永井歩夢(BBS VITA)が今季の自己ベストとなる3番グリッドを手にした。
4番手には、こちらも今季ベストグリッドとなる#761 岩岡万梨恵(フクダ電子VITA)。5番手は#114 翁長実希(Car Beauty Pro RSS VITA)、6番手にはセッション終盤にタイムを更新した#18 坂上真海(CRUX RYUREN VITA)がつけた。今回もトップ11台が1秒以内にひしめく接戦模様となった。
「前日のFCR-VITAでも私の背後に付いてくる車両がいたので、この予選でも予想はしていました。ただ、ここまで台数が多くなるとは思っていなくて、少し驚きました。アタックに関しては、タイヤのピークに合わせられなかったなと思います。本当はベストタイムを出した次の周が一番タイムが出ると思ってアタックしていましたが、最終セクターで前の車両に詰まってしまいました。今回のタイムよりも0.5秒くらいは削れたはずなのにタイミングを合わせられなかったので、反省点のある予選になりました。決勝はしっかり頑張りたいと思います」
10時55分から12周で争われた決勝レースは、斎藤が好スタートを決めると、5番グリッドの翁長が2番手に浮上しTGRコーナーに突入。下野が3番手で続いた。
コカ・コーラコーナーに向かう直線では、坂上、岩岡、永井が3ワイドでバトルを展開。その後方には#112 池島実紅(SPIRIT VITA)とひ#44 平川真子(ROOKIE Racing VITA)が続く上位陣となった。ダンロップコーナーを立ち上がって、斎藤、翁長、下野、永井、坂上、岩岡、池島、平川と続くが、最終のパナソニック オートモーティブコーナーで池島が挙動を乱してコースオフを喫し、順位を落としてしまう。
1周目を終えて、斎藤と翁長のトップ2台はこう着状態だが、2周目のTGRコーナーを通過すると下野と永井の3番手争いが白熱。2台はサイドバイサイドでコカ・コーラコーナーに進入したが、永井が単独でスピンを喫し、大きく順位を落とすことに。これで後方にいる数台も混乱し、その隙に岩岡が4番手に浮上。坂上、平川と続いた。
トップ争いはしばらく膠着状態が続いたが、3周目に入ったところで翁長が斎藤をパスしてトップに浮上。斎藤も応戦し4周目のメインストレートで逆転するが、翁長もメインストレートでのスリップストリームを活かして5周目のTGRコーナーで一瞬前に出る。これに対して斎藤も引かず、100RからADVANコーナーにかけてバトルを繰り広げた。このバトルで2台のペースが落ちた隙を見て、3番手の下野がトップ争いに参加。ダンロップコーナーでは2台の間に割って入り、3台横並びで進入した。下野が一瞬トップに出ようとするが、斎藤が踏ん張ってトップを死守。その隙をついて翁長も2番手を取り戻し、順位が変わらない状態で6周目を完了した。
トップ争いが白熱する一方、“第2集団”も白熱。坂上、平川、岩岡の4番手争いに、#213 バートン・ハナ(PRIX WORKSHOP VITA)も加わってトップ集団に負けない熱い戦いを繰り広げた。その後方では、山本、永井、#38 佐々木藍咲(LHG Racing DRP VITA)もサイドバイサイドのバトルを展開。10番手以降でも各所で熱戦が展開された。
後半にさらに熱を増したのが4番手争い。シフトに不具合を抱え、「騙し騙しの走行になっていた」という坂上だが、平川とハナの猛追を必死に食い止める。抜きつ抜かれつのバトルで突破口を開いたのが、今回から参戦チームを変更しているハナで、11周目に平川をパスすると、最終ラップのTGRコーナーで坂上を攻略しにかかる。2台とも一歩も引かずに、並んだままコカ・コーラコーナーに進入したが、ここで勢い余って坂上がスピンを喫し、16番手まで後退。ハナが自己最高位となる4番手を手に入れた。
トップ集団は斎藤が翁長と下野を徐々に引き離していき、最後は1.4秒の差をつけてフィニッシュ。今季3勝目を挙げた。2位には翁長、3位には下野が続いたが、終盤に斎藤との差を埋めることができず悔しい表情をみせていた。
「スタートがうまく決まってトップを守れました。その後は翁長選手に一度先行されましたが、メインストレートが向かい風でしたし、レース序盤だったので焦らずにいきました。これまでのレースを踏まえて、前半にプッシュしても後半でしっかりと走り切れるように……グリップが下がるレース後半で『どうやってうまく乗るか?』というトレーニングもしてきましたし、前半にプッシュしても後半でしっかりと走り切れるように、体力面やドライビングの技術も良くなるように取り組んできました。それが形になってホッとしました。誕生日に優勝できて嬉しいです!」
「スタートは得意だったので、すぐに2番手に上がることができました。そこから付いていってチャンスを狙えればなと思っていました。ただ、後ろにいる下野選手も速くて、3台のバトルになると厄介なので、出来るだけ(斎藤選手と)2台で後ろを引き離して、一騎打ちのバトルに持ち込みたかったです。様子を見ていたのですけど、後半にタレてくるタイミングで斎藤選手のペースが速かったので、そこから仕掛けるチャンスがなく終わりました」
「3番手から追いかけていく展開のなかで、翁長選手を抜こうとしたんですけど、2台で争っている間に斎藤選手が逃げてしまうと思ったので、一旦バトルをやめて2台で追いかけようとしました。でも、そこから付いていけなくなって、差が離れてしまいました。最初は斎藤選手と翁長選手がバトルしてくれていたので、そこで追いつけましたけど、後半のペースは負けていたと思います。クルマのフィーリングもあまり良くなかったですし、スタートのベストな感じではなかったので……また次頑張ります」
今回のレースで随所に見せ場を作ってくれたのが、4位に入ったバートン・ハナ。さらに2分00秒529のファステストラップも記録。レース後半のバトルも非常に見応えがあった。
「これだけトップレベルのところでレースをするのは初めてでした。これまで私が経験してきたバトルよりもはるかにアグレッシブだなと感じましたけど、すごく楽しかったです。私自身、もっと学ばないといけないところがありますし、経験も豊富ではないです。でも、以前と比べるとペースを上げられているのかなと思います。坂上選手とのバトルは、本当に難しかったです。彼女はカートの経験も豊富だと思うので、すごくアグレッシブでしたし、ストレートで追い抜くチャンスがほとんどなかったので、難しいバトルでした」
レースでは力強い走りをみせたハナだが、予選が11番手に終わったということが次戦に向けての課題とのこと。「予選では他車のスリップストリームを使ってタイムを稼ぐことが重要になります。それも踏まえて、自分の位置どりや戦略なども考えないといけないですし、新品タイヤでのアタックにもう少し慣れないといけません」と、課題も明確になっている様子。次戦の走りにも期待大だ。